クロスオーバー考

オタク「作品A、いい……」

 

オタク「作品B、いい……」

 

オタク「そうだ……!クロスオーバーしよう!!!

 

 

 

 という安易な思想に陥る二次創作オタクというのは僕を含めて結構な数存在するのだろうと思われる。自分の所属しているオタク界隈を見れば、けもフレが絡むクロスオーバー作品はちょいちょいあるし、なんなら自分でもたまにやってしまう。

 しかし、だからといって安易なクロスオーバーはあまり褒められたものではない。

 

 例えば、ジャパリパークコブラがいるとしよう。コブラ科キングコブラ属キングコブラのフレンズではなく、それは間違いなくやつなコブラ

 

 何故お前がここにいる?

 

 まあ、コブラジャパリパークにいる時点で、高確率でその二次創作はギャグであると予想されるし、ギャグ世界線ならコブラがいてもなんの問題はない。ヒューッ!のノリで大丈夫だ。

 だからといって、ゴリッゴリのシリアスSFでいきなりコブラが出てきたらダメだよね。もちろんそういう「ここでお前来るんか〜い!」なギャグなら良いけども。ギャグでないなら、コブラが存在する理由付けが欲しくなるところだ。

 要は、(あくまで個人の意見ですが)荒唐無稽なギャグでないクロスオーバーをするのであれば、なぜクロスオーバーが可能であるのか、という理由付けがあったほうがよくない?(個人の意見) という話である(※個人の意見です)。

 

 いまここではなんとなくコブラけものフレンズを例に挙げた。ほかのクロスオーバー作品だって色々あるわけだし、とりあえず「世界線の構造」の違いから、「二次創作におけるクロスオーバーの分類」を勝手に行ってみようと思う。

 例として挙げられるものに二次創作以外が多すぎるけど、そこはご愛嬌でお願いします。

 

1.クロスオーバーの分類

①同軸型

 作品Aと作品Bが同一世界線の物語であるとしたもの。時間軸がずれているものも含む。

 現代日本とか、舞台がある程度共通の作品とかだとやりやすそう。時間軸がずれているパターンとしては、歴史モノの登場人物が、別の作品内で史実として登場してくるとかもあるか。

 

 例として、「けものフレンズ」のジャパリパーク(漫画版等で描かれるような営業時)に別作品のキャラが観光で訪れる、みたいなパターン。

 二次創作とは違うけど、同じ作者や出版社の作品のキャラクターを小ネタとして登場させるのは一次創作でもよくあるパターンな気がする(板垣巴留先生の短編集「BEAST COMPLEX」に「BEASTARS」のキャラクターがチラッと出てくるとか、アニメ「エロマンガ先生」のラストに俺妹のキャラがチラッと出てくるとか)。手塚治虫先生の作品をはじめとした「スター・システム」なんかもこれでしょうね。実写ならカメオ出演とか。

 

②並行世界型

 作品Aと作品Bが同一世界線上にないが、次元を超えるなりなんなりして邂逅するもの。

 ここでいかにして「次元を超える」かがSF的になるかどうかのカギな気がする。そういう技術があるとか、そういう能力持ちのキャラが元々いるとか、トラックに轢かれたら異世界飛んじゃったとか、何かしらの論理的な理由があると個人的には嬉しい。ん?異世界トラックって論理的なのか?まあいいや。

 ここで論理的な説明がなされないと、だいたいの場合で後述のギャグ時空型になる。

 

 小説サイト「カクヨム」内の「けものフレンズ」二次創作作品同士のクロスオーバーはこのパターンが多い。(そのへんのいい感じの設定を編み出してくださった作家さんがいらっしゃるのだ)

 

③メタ型

 作品Aの世界線においても、作品Bが作品Bとして成り立っているもの。

 ただし、この場合作品Bは「作品」のままなので、作品Bのキャラを動かすのは一筋縄ではいかない。

 

 二次創作でない例としては、「天気の子」のCM中で「君の名は。」を映画作品として鑑賞しているシーンとか。ただしアニメ映画としてではなく、実写映画として見ている可能性はある。

 二次創作だと、ある作品のキャラクターが別作品のソシャゲをプレイする話だとかになりそう。

 あと「けものフレンズ」だと便利物質サンドスターがあるので、キャラという概念にサンドスターをぶち当ててフレンズ化させて動かす、という荒技ができるので楽しい。個人的には一番好き。

 

④ギャグ時空型

 理由は無いけどとりあえずクロスオーバー!!!みたいなもの。ギャグなので許されるやつ。②並行世界型の「次元を超える」の説明がない、あるいはムチャクチャな場合はこれに分類可能だろうから、②の亜種とも言える。

 

 例えば「こち亀」の両さんがナメック星に異動になってる話とか。公式やんけ。あれもギャグだから許されるのであって、ドラゴンボールの連載途中に話の本筋でやられたらたぶん困る。

 あと、冒頭のコブラネタはこれにあたる。コブラってしょっちゅう次元超えてるよな。

 

⑤オマージュ型

 作品Aのキャラクターで作品Bのオマージュ、パロディをするもの。そろそろクロスオーバーと言っていいのかわからなくなってきた。

 作品Bのキャラっぽい格好をした作品Aのキャラが出てくるだけのこともあるし、作品Bのキャラが必ずしも登場するとは限らない。

 

 メロブとかとらのあなに行くといつもある気がする。あと同人イベントに行くといつもいる気がする。パロられる側とパロる側のどちらに比重を置いているかはサークルによるだろうから、既刊を見て判断しよう。

 フレンズが魔法少女の格好をしている、みたいな衣装着せ替え系もこれに入れていいような気がする。

 

⑥ロールプレイング型

 ちょっと特殊なタイプ。TRPGのリプレイとか、なりきり垢同士の交流とか。後者を二次創作クロスオーバーと呼ぶのは違う気がするが。

 異なる作品のキャラが交流できる理由の有無とその種類によっては①〜④に帰属可能と考えられる。

 

 

 こんなもんだろうか? とりあえず「世界線の構造」という観点から大きく6つに分類してみたが、ほかの観点からの分類もおそらく可能だろう。キャラ交流型/小ネタ仕込み型/メタ型、みたいなキャラクター同士の関係性から分けたりもできそうだ。

 

 

2.クロスオーバーそのものについて

 ここから先は筆者の思想・主観がゴリゴリに入っているのでご注意ください。ただの面倒くさいオタクの思考です。

 

 まあ人間誰しも好き嫌い得手不得手というのはあるもので、自分の好きなものが誰かの地雷、ということもザラ。逆もまた然り。

 僕の地雷は「論理的理由のないクロスオーバー」です。さっきの分類なら④番。

「いや!なんで!お前そこにおんねん!!!」となるので……。「いや、いてもいいんよ、いるべき理由があればなあ!」

 

 面倒くさいオタクなので、なるべく創作物中では存在に意味を持たせたいというか、ストーリー上必要不可欠でないならわざわざ別作品のキャラクターを登場させる必要があるのかというか、やっぱりSF的観点から見てこの二つが並立するのはなんか違くない?とか言い始めるし、「このギャグをやる上で居ないと困る」とかなら全然いいんだけど、ただ単に「好きなものと好きなものを一緒にしたら絶対いいよね!」みたいな安易な思考が見え透くと嫌だなというか……(面倒くさいオタク)。

 

 でもやっぱり好きなものと好きなものは安易に一緒にしたくなるんですよね!!!(早すぎる掌返し)

 

 僕は設定厨なオタクなので、なるべ〜く公式設定と矛盾しないようにご都合設定をいじくって、いい感じの設定を強引に編み出し(例:サンドスターは創作物にも反応し、キャラクターをフレンズ化することが可能という脳内設定)、存在意義を強引に作り出して自分の作品内で暴れます。強引に②とか③にする。

 

 まあ結局のところ、関係がセンシティブな作品同士のクロスオーバーはやっぱりセンシティブだし、クロスオーバーそのものが地雷な人だっているし、設定厨が嫌いな人だっているだろうし、どうしようもないんですよね。

 愛されようが嫌われようが、クロスオーバーだろうがなんだろうが、自分のやりたいようにやって、書/描きたいように書/描くのが一番良さそう。

 

 クロスオーバーする方、こんな分類と地雷吐露の怪文書なんか気にせずどんどん好きなようにやってください。

 もちろん、ダメなやつはダメですよ。合同誌や同人イベントの規約に違反するとか、小説サイトのガイドラインに違反するとか(カクヨムは異なる版権作品のクロスオーバー二次創作は禁止です。昔BEASTARSけもフレのクロスをうっかり投稿して焦ったことがあったり)。

 

 でもそれを除けば、よろず創作は自由であるべきだと思います。みんなガンガンやっちゃえ!!!安易にクロスオーバーしちゃえ!!!

 

 

おまけ

けものフレンズ」の二次創作ガイドラインの禁止事項に「他社(第三者)に版権が帰属するコラボレーション作品などの利用全般」って項目があって、これが「クロスオーバーを制限するもの」だという解釈の仕方もあるんですけど、僕は「コトダマンなどでコラボした際の画像・音声の直接二次利用を禁止するもの」だと解釈していて、クロスオーバー先の権利周りも確認して大丈夫そうならクロスオーバー全然大丈夫なのでは? と勝手に思っています。